※この記事は2024年6月14日に最終更新されました。
法改正で求められるウェブアクセシビリティ対応の重要性と対策方法【コーダー視点で独自解説】
2024年4月に障害者差別解消法の改正法が施行され、障害の有無に関わらず、全てのユーザーが使いやすいウェブサイトを提供することが事業者に求められる時代になりました。
しかし、日本においてウェブアクセシビリティ対応は未だ浸透しきっておらず、実際に対応しているウェブサイトは、ごくわずかというのが現状です。
そういったこともあり、今回の改正法の施行によって
「ネットにそれらしい記事はあるけど何から始めて良いか分からない」
「自社サイトでもウェブアクセシビリティ対応した方が良いのだろうか」
「難しいことは全て専門家に任せてやってもらいたい」
とより一層、頭を抱える事業者の方もきっと多いことでしょう。
そこで今回は、実際に対応を行っている当事者として、ウェブアクセシビリティ対応の重要性やメリットなどを詳しく解説していきたいと思います。
ウェブアクセシビリティ対応とは何か
ウェブアクセシビリティ対応とは視覚や聴覚など障害を持つ人や高齢者を含めた全ての人がウェブサイトの情報にアクセスができるようにするための対応を指します。
メジャーな対応としては、ウェブサイトのテキストや画像など各要素を、PCやスマホに掲載されている読み上げ機能に対応させることで視覚に障害を持つ人でもウェブサイトを利用できるようにする “スクリーンリーダー対応” などが挙げられるでしょう。
このウェブアクセシビリティには、WCAG(Web Content Accessbility Guidelines)と呼ばれる世界基準のガイドラインのほか、WCAGを元に制定されたJIS X 8341-3という日本語特有の事項を網羅した独自の指針が日本工業規格によって設けられています。
WCAGとJIS X 8341-3はいずれも同じ指針が採用されており、対応項目は2024年現在78項目存在し、3つの適正レベル(A・AA・AAA)で定義されています。
合格基準は一般的に、A・AAの項目が網羅されていることが一つの指標となっています。
ウェブアクセシビリティ対応で得られるメリット
ウェブアクセシビリティ対応はユーザーだけではなく、事業者側が得られるメリットも多くあります。
主なものを以下に挙げてみます。
ユーザビリティの向上
アクセシビリティを向上させることで障害を持つ人や高齢者、モバイル端末で閲覧しているような特定の環境下にある人々など、多様なユーザーがウェブサイトにアクセスしやすくなるため、結果としてユーザビリティの向上が見込めます。
社会的イメージアップ
アクセシビリティに配慮することは企業や団体の社会的責任を示す重要な手段となります。
包括的な価値観を示すことで、顧客やステークホルダーからの信頼も一層高まり、社会的なイメージアップが期待できます。
SEO対策
ウェブアクセシビリティ対応には、クローラー(ウェブサイトを巡回して検索結果として表示させるロボット)がサイト構造を理解しやすくなる項目も含まれているので、対応することによって検索結果の表示順位が向上する可能性があります。
これらのメリットからも分かるように、アクセシビリティ対応はユーザーと事業者の双方にとって大きなメリットのある対応だと言えるでしょう。
どこまでウェブアクセシビリティに対応させるべきか
ウェブアクセシビリティ対応を行う上で、考えなくてはならないのが「どこまで厳密に対応を行うのか」ということです。
正攻法で進めていくのが、必ずしも正解とは言い切れないのが、ウェブアクセシビリティ対応が難しい理由の一つであると我々は考えます。
ウェブアクセシビリティ対応は、一部のユーザーにとってウェブサイトが使いやすくなる反面、サイト設計やデザインに影響を与える可能性もあり、ウェブアクセシビリティに特化させようとすると、これらの見直しから必要になるケースも多く存在します。
潤沢な予算や十分な工期があれば話は別ですが、全てのプロジェクトがそういうわけではないと思います。
こういった理由からも、ウェブアクセシビリティ対応は十分に検討を行った上で、慎重に進めていく必要があります。
ウェブアクセシビリティ対応を行うまでの流れ
ウェブサイトを制作する際に、企画 → デザイン → コーディング といった手順があるのと同じように、ウェブアクセシビリティ対応にも手順が存在します。
簡潔にまとめると、
①サイトのアクセシビリティ診断を行い、現状の問題点を洗い出す
②診断結果をもとにアクセシビリティ対応を進める
というのがオフィシャルの進め方になります。
サイトによって対応した方が良いとされる項目が異なるので、ガイドラインに沿って対応を進めたとしても、必ずしもそれがアクセシビリティの向上に直結するということではありません。
まずは、現状の問題点を洗い出した上で、改善が必要な箇所に対して適切な対応が求められます。
アクセシビリティ診断は、株式会社インフォアクシアを始め、診断を行っている企業も多数あるので、気になっている方は、専門家に一度問い合わせてみるのも一つでしょう。
コーダーができるウェブアクセシビリティ対応とは
ウェブアクセシビリティに特化させようとすると、大規模な作業になってしまうのは、これまでの話で自明の理だと思います。
しかし、そこまでしてウェブアクセシビリティに対応させたいと思う方は少数派でしょう。
そこで、大掛かりな改修までは行わず、我々コーダーだけでできることはないのかという視点で話をしたいと思います。
先の章で、サイトによって対応した方が良いとされる項目が異なると話しましたが、その中でも、どのサイトでも共通して対応が推奨される項目がいくつか存在します。
一例として
・セマンティックマークアップ
・スクリーンリーダー対応
・WAI-ARIA
などが挙げられますが、これらは診断結果に関係なく、ウェブアクセシビリティ対応を行う上で共通して対応した方が良いとされる項目になります。
これらはウェブサイトを構築しているhtml内部の対応になるので、コーダーだけで対応することができ、アクセシビリティ診断から行うオフィシャルな進め方と比べて、費用や工期を抑えられる傾向にあります。
これらの対応だけでもアクセシビリティの向上は期待できるので、まずは小さな範囲で少しずつ対応を行いながら、Googleコンソールなどでユーザーの動向を分析しつつ、必要に応じて、専門家に診断を依頼するという進め方でも遅くはないと考えます。
まとめ
ウェブアクセシビリティ対応は、ユーザーエクスペリエンスの向上だけでなく、多くのメリットをもたらします。
ビジネスにおけるウェブアクセシビリティの重要性を考え、積極的な取り組みを行うことが今後のウェブサイトの1つのトレンドであり、需要も高まってくることでしょう。
直近では、ウェブアクセシビリティ対応に関する関心も高まっており、イーコーディングへの問い合わせや相談も増えているので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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