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コーダーの必要性とは? 専門知識と技術で適切なHTMLコーディング
Web制作の現場ではデザインとコーディングの分業化が進み、HTMLコーディング代行業者の数も急増しています。複雑化するWeb制作に効率よく対応するためには、深い専門知識と高度な技術を持った専門のHTMLコーダーが必要です。
Webサイトの制作フェーズには、「デザイン」と「コーディング」の2つの工程があります。現在では分業化が進み、デザインはWebデザイナー、コーディングはHTMLコーダーが担当する制作スタイルが一般的になりました。
HTMLコーダーの需要の高まりに応じて、ここ10年ほどの間に、コーディングのみを請け負うHTMLコーディング代行業者の数が大幅に増えました。これはHTMLコーディングを外注する作業面のメリットが、費用面のデメリットを上回るケースが増えているということも意味しています。
コーディング業務において、HTMLコーダーの専門知識や技術が必要とされるポイントを解説します。
言語
<Web制作で用いる言語>
- HTML5
- CSS3(SASS/SCSS)
- JavaScript(jQuery)
- その他プログラミング言語
Webサイトのコーディングに使われる主な言語は「HTML」と「CSS」です。シンプルなWebサイトならこの2言語だけで作れますが、動きをつけたりお問い合わせフォームを実装したりするには他のプログラミング言語も必要になります。
HTMLとCSSは習得しやすい反面、頻繁に改訂が行われるため、常に最新の知識を取り入れ続けるにはそれなりの労力が必要です。WebデザイナーとHTMLコーダーの業務をわけることで、それぞれの分野の専門性を高め維持するコストを減らすことができます。
HTML(HTML5)
HTML(HyperText Markup Language)は、Webサイトに掲載するデータの“要素”を定義するための言語です。現在は5回目の改訂版であるHTML5が標準仕様に定められています(2014年10月~)。
“要素”とは「見出し」「段落」「画像」といった、Webページを構成するデータの区分を指します。人間と違って、検索エンジンを含む機械はデータを0と1の羅列としてしか認識できません。後述のCSSで見た目を整える前にHTMLで「この要素は見出しである」「この要素は段落である」「この要素は画像である」……とすべて定義する必要があるのです。
CSS(CSS3)
CSS(Cascading Style Sheets)は、Webサイトの見た目を整えるための言語です。HTMLで定義した各要素を修飾する役割を担っています。2021年現在、3回目の改訂版であるCSS3が標準仕様と定められています。
デザイン(修飾)の定義をHTMLではなくCSSで行うことには大きなメリットがあります。その最たるものがデザイン変更のしやすさです。例えば見出しのサイズを大きくしたい場合、CSSファイルの見出しについての記述を書き換えるだけでWebサイト全体に変更が反映されます。HTMLファイルを修正する必要はありません。
また1つのHTMLファイルに対し複数のCSSスタイル(ファイル)を用意することで、内容が同じで見た目が違うWebサイトが簡単に作れます。スマホ対応する際に非常に役立ちます。
JavaScript
JavaScriptは、動きのあるWebサイトを構築するための言語です。画像をスライドショーにしたり、スクロールにあわせて画像を浮かび上がらせたりといった、最近流行している演出の多くはJavaScriptで実現されています。
HTMLやCSSと比べるとJavaScriptは習得が難しく、専門外の人員が一から勉強するよりも、JavaScriptも扱えるHTMLコーダーに作業を任せる方がコストを安く抑えられます。
その他プログラミング言語
HTML、CSS、JavaScriptの3つが扱えればたいていのWebサイトのコーディングが可能です。WordPressのカスタマイズやオリジナルテーマ作成にはPHPという言語が必要ですが、必ずしもすべてのHTMLコーダーが習得しているわけではありません。
ECサイトのショッピング機能などより高度な機能の開発にはJavaやRubyなどの言語を使いますが、Web開発(プログラミング)の領域になるので、HTMLコーダーが言語をマスターする必要はありません。ただし機能を開発するプログラマと意思疎通できる程度の最低限の知識が求められる場合はあります。
W3C
W3Cとは、World Wide Web Consortiumの略で、Web技術の標準化を進める団体です。たとえば「WebサイトのコーディングにはHTML5とCSS3を使用する」というルールを定めた(勧告した)のも、W3Cです。
W3Cが定めた標準仕様に従ってHTMLコーディングすることで、閲覧環境が異なるユーザーにデザインや挙動が同じ(あるいはなるべく近い)Webサイトを表示させられます。またGoogleがW3Cに賛同しているので、SEO内部対策の観点からもW3Cの勧告は遵守すべきです。
モバイルファースト(スマホ対応)
スマホでWebサイトを閲覧するユーザーの割合は年々増加しています。制作するWebサイトのターゲット層によっては大半がスマホユーザーというケースもあるでしょう。Googleの評価もスマホへの適切な対応(モバイルフレンドリー)が前提となっています。
新しいWebサイトを制作する場合はもちろん、既存のWebサイトをリニューアルする場合でも、なんらかの形でスマホ対応はしなくてはなりません。スマホサイトのデザインはHTMLコーダーにお任せという案件もあります(すべてのHTMLコーダーが対応できるわけではありません)。
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端末とブラウザ
スマホの普及にともない、閲覧環境の種類は大幅に増えました。現在ではOSやブラウザだけでなく、スマホのディスプレイサイズや解像度も考慮しなくてはなりません。
とくにスマホ端末は種類が多く、バグチェックも一苦労です。特定の端末だけバグが出る場合もあるので、HTMLコーダーは端末についてもある程度知っておく必要があります。ちなみに検証端末を幅広く用意できることが、HTMLコーディング代行業者の強みの1つでもあります。
SEO対策
SEO対策(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)のうち内部対策はHTMLコーディングによって行います。検索結果の順位を上げるためには、無駄やミスのないHTMLコーディングでWebサイトを検索エンジンにクロールされやすい状態にしておくことが大前提となります。
画像
読み込みに時間がかかるページは閲覧者に嫌われます。とくに検索流入に与える影響は致命的で、基本的にユーザーは表示されるのを待つことなく即離脱する傾向にあります。待ってくれたユーザーもストレスで心象が悪くなります。しかもGoogleの評価基準にも表示速度の速さが含まれています。
画像は、画質を損なわない範囲で圧縮し、適切な形式で保存することでファイルサイズを抑えられます。画像を多用する場合は、ファーストビュー(ページを開いたときに見える範囲)を優先的に表示させるなど様々な工夫がHTMLコーディングに求められます。
CMS
CMS(Content Management System、コンテンツ管理システム)は、Webサイトの管理や更新を簡単に行うためのシステムです。ブログやニュースリリースなど更新頻度の高いページがある場合、あらかじめCMSを導入しておくと運用のコストが抑えられます。
代表的なCMSは「WordPress」と「Movable Type」です。WordPressはカスタム性が高くWebサイトを作ることもできますが、ある程度コーディングの知識が必要になります。Movable Typeは操作が直感的でブログ向きです。
HTMLコーダーには、CMSの導入法やカスタマイズの知識が求められます。
セキュリティ
Webサイトを閲覧するときユーザーとサーバーは通信を行います。この通信には、閲覧したサイトのURLやネットショッピングで使ったクレジットカード情報などが含まれます。
悪意のある第三者に覗かれないよう通信を暗号化するSSLなど、HTMLコーダーにはセキュリティ対策の知識が必要です。
サーバー
HTMLコーディングを行ったあとのチェック作業は、テストサーバーにアップして行います。また依頼者がWebに詳しくない場合、サーバーを借りたり独自ドメインを取ったりといった作業を代行することもあります。
ほかにも上述のSSLは、SSLサーバー証明書をサーバーにアップロードする必要があります。セキュリティ面も含め、サーバーも知識もなくてはならないものです。
まとめ:適切なコーディングは専門のコーダーに任せよう!
HTMLコーディングに最低限必要なものは、テキストエディタだけです。基本的なHTMLやCSSの習得が容易なこともあり、誰にでもできると思われがちです。
しかしここまで解説してきた通り、Googleや閲覧者から評価される質の高いWebサイトを制作するには、HTMLとCSSのコード記述以外にもさまざまな知識と技術が必要になります。Webデザイナーはデザインに、HTMLコーダーはコーディングに専念することで、制作の効率を上げることが可能です。